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社労士大橋の気まま日記
 
 



 
 ■ ケガをしたり病気になったとき
   
  ◆ 通常、ケガをしたり病気になったりしますと、保険を使って医者などにかかりますよね。しかし、それだけではなく、それによって会社を休んでしまったり、かかった医療費が高額になった場合などには、様々な給付制度があります。また、業務上のケガや病気の場合には労災保険を使うことになります。今回は、このようなときの給付制度の紹介をしようと思います。

1.私傷病で会社を休んでしまった

 健康保険には「傷病手当金」という制度があります。これは、休業の第4日目から1年6ヶ月分を限度として支給されるものです。支給額は、休業一日につき標準報酬月額>>前回の<用語解説>参照 )の過去12ケ月平均相当の2/3となります。いわば“所得保障”みたいなものです。ですので、会社から給料が支払われたりした場合、その額によっては「傷病手当金」が減額されたり不支給になりますので注意して下さい。

【手続方法】
「健康保険傷病手当金請求書」に医師等の証明を受け、勤務先の会社等で賃金支払状況の証明をもらい、協会けんぽの窓口に提出します。


2.負担した医療費の自己負担額が高額になった

 重い病気にかかったり、手術を受けたりしますと、それにかかる医療費の自己負担額も高額になりますよね。そこで、健康保険では、一ヶ月間に病院で支払った自己負担額が限度額※を超えた場合に、その超えた分を後から払い戻す制度があります。
 また、入院や手術など、あらかじめ自己負担額が高額となることが分かっている場合は、事前申請をしておくことにより、一定額以上は病院で支払いをしなくて済ますこともできます。

【手続方法】
「健康保険高額療養費支給申請書」に、医療にかかった費用の領収書を添付の上、協会けんぽの窓口に提出します。(会社等の証明は不要です)
事前申請の場合は「健康保険限度額適用認定申請書」という書類に、健康保険証のコピーを添付の上、協会けんぽの窓口に提出します。

※自己負担限度額 (一例:所得や年齢によって他にもパターンがあります)
 80,100円+(医療費−267,000円)×1%

◆ 用語や計算式が少しややこしいですが、具体例を挙げて計算してみましょう。

〈例〉「標準報酬月額36万円の人が、一ヶ月間にA病院で30万円支払った」

ここでの30万円は3割負担の自己負担額ですので、(上記計算式上の)医療費は100万円となります。
まず、「自己負担限度額」を求めます。

    80,100円+(1,000,000円−267,000円)×1%=87,430円

自己負担限度額を超えた分が支給されますので、高額療養費の支給額は、

    300,000円(自己負担額)−87,430円=212,570円

となります。おわかりいただけましたでしょうか?


3.業務上または通勤の途中で傷病になった

 このような場合には労災保険を使うことになります。
 具体的には、「療養補償給付たる療養の給付請求書」というのを労災指定病院等に提出すれば、診療が無料で治るまで受けられます。ただし、通勤災害の場合には200円の自己負担金が必要な場合があります。
 また、急を要した場合など指定病院以外で診療を受けた場合には、いったん費用を立替払いしておき、後から払い戻してもらうことになります。このような時は「療養補償給付たる療養の費用請求書」に医師の証明を受けて労働基準監督署に提出します。いずれの場合も会社等の証明が必要です。

 これが原因で会社を休んだ場合には、健康保険と同じように所得保障的な意味合いの給付があります。休業の第4日目より、1日につき給付基礎日額※の60%が支給されます。これを「休業補償給付」といいます。また、「特別支給金」として1日につき給付基礎日額※の20%が支給されます。これらも、健康保険のと同様に、会社から給料が支払われた場合、その額によっては減額されたり、不支給になることがありますので、注意して下さい。

【手続方法】
「休業補償給付支給申請書」に医師等の証明を受け、勤務先の会社等で賃金支払状況などの証明をもらい、労働基準監督署に提出します。

★注意点
 労災保険が適用になるかどうかは、本当にその仕事が原因でなったのか、あるいは通常の通勤途中で起きたものなのかが重要となります。つまり、単なる不注意によるケガや通勤の経路を外れていた場合などは、労災保険は使えません。
 業務災害の場合には、会社の監督責任も問われることになりますので、労災保険を使う場合には、会社の担当者や関係する社労士、あるいは労働基準監督署などに相談した上で慎重に手続をして下さい。


※「給付基礎日額」
…事故等発生日直前の賃金締切日前3ヶ月の賃金総額を、その期間の総暦日数で割った額のこと。ただし、通勤費・時間外手当等は含み、賞与の金額は含みません。
 
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