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今回と次回は「パワハラ」を取り上げます。まず今回は、何がパワハラで、実際にどのような事例があるのかなど、基本的な事項を述べたいと思います。
◎ パワハラの定義
厚生労働省が昨年、円卓会議において「パワハラの定義」を発表しています。
@同じ職場内で働く者への行為であること
A職場内の優位性を背景にして、その力関係が上位にある者の行為であること
B業務の適正な範囲を超えた行為であること
で、上記の行為により相手が精神的あるいは肉体的に苦痛を受けることをいいます。
ただ、実際にパワハラに該当するかどうかは、(セクハラとほぼ同様に)受けた相手の主観によって決まることが多いですから、その認定が難しくなります。
◎ 実例と問題点
私が見聞きした実例を、支障のない範囲で紹介します。
□ 「某病院にて、院長が看護師に対し自分の思い通りに動かないことに執拗な叱責と暴言を繰り返し、患者にまで本人の目の前で『こいつは役立たずで給料泥棒だ』などと悪口を言いまくった。 たまりかねた本人が退職したい旨申し出ると、『ろくに働いてもいないのに職場放棄するとは勤労義務違反だ。有能な弁護士に相談して損害賠償を求めるから覚悟しておけ』と脅された。 (以下略)」
□ 「某大学付属の研究所にて、所長である上司が研究員である部下の研究成果を盗用し、あたかも自分自身の手柄のように振る舞い、実際にそれをもって特許を取得するに至った。 当上司は特許取得にまつわる収益や名誉に関わるものを全て自分で独占し、部下には『本当のことを口外したらお前の将来はない。ここにずっと置いてほしくて出世したいならこの程度我慢しろ』と脅した。
部下はこのことが元で体調を崩し仕事が続けられなくなり、結局退職を余儀なくされたが、退職金の支払いはおろか、雇用保険の離職票の発行も拒否された。」
これだけ読むと「ずいぶんひどいことをする人がいるものだ」などと思ったりもするわけですが、ここで問題なのは、当事者(加害者側)に『自分はパワハラまがいのことをしている』という罪の意識が全くないということです。
逆に、これほどひどい事例でない場合は特に加害者側に当事者意識がないことが多いですし、パワハラを受けた側の性格や感じ方によっても変わってきます。極端な話、された側がパワハラと感じればパワハラになり、そう思わなければパワハラにはならないともいえます。ここが難しい所で、どこまでが「指導」で「業務の一環」なのかの線引きも難しいのです。
<次回に続く>
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