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少子高齢化が叫ばれて久しいですが、現実に社会の中の人口比率がそのようになってきています。今回は職場での高年齢者雇用の現実と具体的な活用法について考えてみたいと思います。
◎高年齢者雇用への対策の現実
厚生労働省の最新の調査結果によりますと、法律に基づいて実施している高年齢者の雇用対策は、定年年齢の廃止が2.6%、定年年齢の引き上げが18%、継続雇用制度の導入が80%程となっています。全体として何らかの形で働いている60歳以上の労働者の方々の人数は、およそ10年前の調査に比べ70%ほど増えているという結果もあります。
上記の数字で明らかなとおり、定年の年齢を引き上げたり、定年そのものを廃止したりすることは現実的に難しいようで、嘱託・契約社員等の名称で再雇用等している企業が大半となっています。
また、65歳を超えても働ける制度となりますと、当該制度がある企業は全体の27%程となっており、ぐっと数字が下がっているのが現状です。
◎高年齢者の具体的活用事例
では、日本の企業等の中で高年齢者を有効活用している所は、どのような制度で運用し、いかなる工夫等をしているのでしょうか? その具体的な事例をご紹介したいと思います。
厨房機器や調理器具の販売が主業であるA社。従業員数は全体で500人ほどで、そのうち60歳以上の方が160人ほど在籍。今から15年ほど前に定年制そのものを廃止、農村出身の社長曰く「そもそも農家は定年なんてなく、みんな80歳になろうが90歳になろうが元気なうちは普通に働いている。だから、定年なんてない方が自然で特別なことじゃない。むしろ年齢だけで線を引いてしまう方が不自然。」というのがそもそもの方針。性別や経験にもとらわれず、意欲と能力がある人材なら誰でも受け入れているとのこと。
働き方や時間も可能な限り本人の希望を考慮して決め、基本出入り自由なので、何らかの事情でいったん退職した人も働ける状況になればまた職場に戻ってくることも多いという。
従業員数80人ほどの食品製造を営むB社。60歳以上の方を限定採用し、和・洋菓子の下ごしらえや加工作業に専属で配置。他企業を定年退職した人生経験豊富なその方々は、楽しそうで充実した仕事ぶりで、かつ黙々と働くため他の社員の模範ともなり、仕事の合間には自身のこれまでの経験談を話したり、若い社員の様々な相談に乗るなど、その特徴を活かした貴重な存在になっているとのこと。
社長はじめ経営幹部は、そんな高年齢者の方々を「達人」と呼んで尊重し、若い人も感化されてモチベーションが上がり、結果的に離職率も下がるなどの効果が出てきているとのこと。
今回は高年齢者にフォーカスして書きましたが、理想は年齢層が偏ることなく様々な世代の人達がバランスよく職場内で活躍することかと思います。色々な価値観や考え方などが融合して活発な組織風土が出来上がっていくといいなあと感じています。
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