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◆ 労災は本来起こってはならないものですが、いざ起こると、それも労災になるかならないか微妙な事例が起こると困ってしまうものです。また、労災でも事業主責任を問われない通勤災害も適用が微妙な部分が多くあります。ここでは実例を挙げながらその辺りを検証してみたいと思います。
(1) 『会社帰りに取引先への郵便物を会社近くのポストに投函して帰る途中、歩道で転んでケガをした』
⇒この場合、会社からポストに向かう途中にケガをした場合は業務中とみなされ「業務災害」となり、投函後自宅までの(通常の)道中でケガをした場合には「通勤災害」となります。
(2) 『休憩時間中に工場敷地内の広場で同僚とキャッチボールをしていた時にボールが目に当たり、目の上を3針縫うケガをした』
⇒休憩時間中も事業主の管理下にありますが、この場合は全くの私的行為中の事故なので「私傷病」の扱いになります。ただ休憩時間中でも仕事に従事していた時のケガは「業務災害」です。
(3) 『会社に行こうと家の玄関を出、門まで行く途中の階段を踏み外し転倒、足首を骨折した』
⇒この場合も「私傷病」です。家の玄関を出ているので通勤災害にも思えますが、“家の門を出てから”が「通勤」となるのです。ただ、マンションやアパートの場合には、“部屋のドアを出た時点”から「通勤」になります。
(→つまり、マンションやアパートの通路や階段での事故は「通勤災害」)
(4) 『東京本社勤務のAさんが大阪支店への出張を命ぜられ、当日朝、自宅から直接大阪支店に出向こうとし、自宅の最寄り駅まで自転車に乗っている時に交通事故にあった』
⇒これは「業務災害」です。出張先へ向かう場合には家を出た瞬間から「業務」が始まっていると解釈されます。逆に、営業マンが得意先に直行する場合は得意先に着くまでは「通勤」です。
(5) 『会社の新年会の最中、大量の酒を一気に飲んだため急性アルコール中毒になった』
⇒一般的には「業務災害」にはなりません。ただし、幹事役など仕事の一環として参加する場合や全社員強制参加が義務づけられている場合などは「業務災害」になります。
◆ これらの他にも微妙な実例は起こり得ると思います。正にケースバイケースですので、そのような時は労働基準監督署や社会保険労務士に一度相談されるのがいいかと思います。
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