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◆ 少し前のことになりますが、国会議員の人達の国民年金の未加入、あるいは保険料の未納のことが騒がれましたね。新聞やテレビのニュースなどでかなり批判的に取り上げられ、年金に対する一般庶民の心配や不信感がより強くなったような気もしています。では、そもそもこのような状況になった根本的な原因はどこにあったのでしょうか。このあたりを検証してみたいと思います。
◆ まずこの問題のミソは、今回問題になった人達のほとんどが“大臣経験者”だということです。下記のようにサラリーマンは健康保険と厚生年金に、自営業者などは国民健康保険と国民年金に、そして公務員は共済保険と共済年金に加入しています。どのパターンも通常は医療部分と年金部分が「ワンセット」になっています。自営業者などは意図的にどちらかあるいは両方を無視することも不可能ではありませんが、サラリーマンの健康保険と厚生年金は絶対に切り離すことができません。
(1)サラリーマンの場合
健康保険(医療部分)
厚生年金(年金部分)
(2)自営業者等の場合
国民健康保険(医療部分)
国民年金(年金部分)
(3)国家・地方公務員の場合
共済保険(医療部分)
共済年金(年金部分)
◆ では、国会議員の場合はといいますと、上記(2)のパターンになります。一見国家公務員かなとも思いますが、そうではありません。ちなみに「議員年金」は会社で言う互助会や社友会にあたるものなので公的年金ではありません。そして、国会議員がひとたび“大臣”になりますと、身分が国家公務員に変わります。ですから、大臣になった瞬間に上記(3)のパターンに変わるのです。
◆ ところが、この(3)の制度がクセ者でして、通常の公務員は先述の通り医療部分と年金部分がワンセットなのですが、"大臣"と名のつく人だけは「医療部分のみ適用」という特例になっているのです。なので国民年金だけは加入したままにしておかなければならないのです。ただ、普通はそんなこと知りませんし、気付きませんので、皆、大臣になった時に国民健康保険と国民年金も両方喪失の手続をしてしまいます。そして、今回のように改めて加入期間や未納期間を洗ってみると『あれれ、こんなはずでは』となってしまうのです。
◆ 国民に範を示すべき国会議員の人たちが、年金の未加入・保険料の未納とは確かに恥ずべき事態ですが、その根底には制度そのものの特殊さや複雑さが潜んでいるということも知っていただくと、テレビのニュースや新聞記事の見方も変わってくるのではないかなと思います。
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