今回は近々改正・変更となる事項のうち、みなさんの仕事や生活にかかわる部分について、その概要をご紹介したいと思います。
1.中小企業でも月60時間超の時間外労働についての割増賃金率が50%以上となります
これまでは大企業に対してだけでしたが、この4月からは中小企業でも(猶予措置が終了し)1ヶ月当たりの時間外労働が60時間を超えた分に関しては、50%以上の割増賃金率で計算した賃金を支払う必要があります。
都合、全国のどこの事業所でも、月60時間超えの残業に対して割増率が倍以上になるということです。
元々残業が多い会社等は賃金支払額が自ずと増加することになりますので、これを機に業務分担の見直しやより一層の業務効率化を考えたいものですね。
※ここでいう中小企業とは、その業種により資本金や従業員の人数により条件づけられています。(例えば、サービス業ですと、資本金5000万円以下または労働者数100人以下の企業等が該当します。)
2.出産育児一時金が引き上げられます
少子高齢化の進展における子育て世帯への支援強化のひとつとして、被保険者および被扶養者が出産した際に健康保険から支給される「出産育児一時金」(産科医療補償制度適用分)の金額が、50万円に引き上げられます。
これまでの支給額は42万円でしたので、かなりの額の引き上げとなっています。
3.健康保険料率・介護保険料率・雇用保険料率等が変わります
健康保険(協会けんぽ管掌)の保険料率が変更になります。
東京都の場合は10.00%(事業主と被保険者が5.00%ずつ折半負担)、同じ要領で埼玉県は9.82%、神奈川県は10.02%となります。今回は全国的には引き下げとなる都道府県が多い中、先述の首都圏地域ではいずれも引き上げとなっています。
介護保険料率は1.82%に変更され、若干ですが引き上げとなります。(こちらは全国一律の料率です。)
これらの変更は、令和5年4月末納付分(→保険料としては令和5年3月分)からですので注意して頂くと共に、社会保険に加入されている企業等におかれましては、データ・設定の変更をお忘れなく。
雇用保険料率もこの4月から変更になります。昨年度に続いて引き上げとなりますが、例年どおり年度単位での一括の変更です。具体的には下記のとおりです。
・一般の事業 ⇒ 1000分の15.5(労働者負担分:1000分の6/会社負担分:1000分の9.5)
・建設の事業 ⇒ 1000分の18.5(労働者負担分:1000分の7/会社負担分:1000分の11.5)
今後の労働保険の年度更新や給与・賞与から雇用保険料を控除する際には何卒ご留意ください。
また、国民年金保険料については、令和5年度は「月:16,520円」(前納割引等を適用しない通常支払の場合)となり、こちらは引き下げとなります。
参考までに、厚生年金保険料率については変更なく、従来と同じ料率です。
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