以前に「年度更新の時期が6月1日〜7月10日に変更となります」とご案内しましたが、ではそもそもこの「年度更新」って何なのでしょうか? 今回はここを解き明かしたいと思います。
◎ 労働保険料の“総決算”
仕事中や通勤途中に病気やケガをしたときに使う保険を「労災保険」といいます。
また、失業した時や教育訓練を受ける時などにもらえたりするのが「雇用保険」です。
この「労災保険」と「雇用保険」を合わせて『労働保険』と呼んでいます。で、読んで字のごとし労働保険の保険料が『労働保険料』です。
この保険料は、会社負担分も個人負担分も合わせて会社が1年分まとめて支払います。この保険料額を計算して国に申告し支払いをすることを「年度更新」と呼ぶのです。
◎ 保険料はどのように計算するのか?
これがけっこう大変な作業なのです。
まずは、昨年度分(各会社の決算時期にかかわらず4月〜3月)のボーナスも含めた給料の額をすべて合計します。
ここで注意することが1点あります。労災保険は、原則社長や一部の役員さん以外はどんな方にも適用されます。ほんの一日だけ働いたアルバイトの方であってもです。
これに対し雇用保険は、(原則社長や一部の役員さん以外で・・というのは上記と同じなのですが)一定以上の勤務をして給料をある程度多くもらっている人しか加入していません。みなさんのまわりでも、正社員さんや常勤のアルバイト・パートさんしか雇用保険には入っていないですよね。
ですから、労災保険の対象者分と雇用保険の対象者分を別々に集計するのです。
そして、その合計額に「保険料率」をかけて保険料額を算出します。
この保険料率は、労災保険と雇用保険でそれぞれ違い、さらに業種によっても異なります。一般的に言いますと、(各種建設業や林業など)危険度の高い業種は保険料率が高く、(小売店や事務仕事など)危険度が低い業種は保険料率が低く設定されています。
◎ 申告手続と支払いのしかた
上記の計算ができましたら、「労働保険確定・概算保険料申告書」という用紙(←毎年申告時期の前になると労働局から送られてきます)に他の必要事項と共に記入して会社の印鑑を押し、申告時期(今年からは前述のとおり6月1日〜7月10日)に会社の住所を管轄している労働基準監督署などに提出するのです。
保険料は上記申告書に付いている納付書を使って、主に銀行などを通して支払います。
また、今年のように保険料率が変わったり給料の額も毎年同じではありませんので、必ずと言っていいほど“保険料に差額”が生じます。この“差額”も精算しつつ、このような作業を毎年繰り返していくのです。
なお、保険料が高額になりますと払うのが大変ですので、1年分の保険料が原則40万円以上になる場合は3分割しての納付が可能となっています。
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