◆ 最近、世間でもよく話題に上っていますので、ご存知の方も多いと思います。では、そもそもどんな制度でどういうメリット・デメリットがあるのでしょうか?平成19年4月からいよいよ実施される「離婚時の年金分割制度」簡単に解説します。
◎「ご主人の年金が半分もらえる」わけではありません
けっこう勘違いされている方も多いようです。実際の年金額を半分にするのではなく、夫(妻)の「厚生年金の保険料を納めた期間」を半分まで自分の方に持ってこれるということです。年金額の計算はそれから行ないますから、必ずしも結果的にお互いの年金額は半々にはなりません。
なお、この期間の按分はお互いの協議によりますから、例えば1/3だけもらうというのも可能です。最大で1/2(半分)までということです。
それから、按分できるのは「厚生年金(共済年金)の期間」だけで、国民年金の期間は按分できませんので注意が必要です。で、もちろん「結婚後の期間」だけです。
例えば・・、結婚してから離婚するまでの期間の内、標準報酬(ほぼ月々のお給料の額とお考え下さい)が「夫−700万円,妻−300万円」だったとしましょう。
2人分を合計しますと、1,000万円ですね。按分割合を半分ということで合意したとしますと、これを半分にして夫・妻それぞれが500万円ずつの持ち分となります。この持ち分の金額を使って、夫・妻それぞれの年金加入記録に応じた年金支給額を計算するというわけです。おわかりになりましたか?
◎何をもって"離婚"とするか
この制度が実施されるのは今年の4月からですので、今年の4月以降の離婚が対象になります。ここでいう離婚とは、いわゆる一般に言う「離婚」の他に「事実婚の解消」も対象(俗っぽく言えば"愛人"でもOKということ)となります。ただし、この場合には被扶養配偶者(国民年金の第3号被保険者)として認定されていた期間に限られます。
按分方法は「当事者(夫婦)間の合意」あるいは「裁判手続」によって決定し、社会保険事務所にその証拠を添えて請求して初めて認められます。離婚すれば自動的に"半分がくる"わけではありません。 もともと離婚するような境遇にある夫婦ですから、この按分割合をめぐっての交渉はうまくいかないケースが多くなると思われます。
◎実際に請求する場合はどうするのか
原則として、離婚した日から2年以内に住所地を管轄する社会保険事務所で手続をします。その際には「年金手帳」、「戸籍謄本」、「住民票」および前述の「按分割合を定めた書類」を持参します。
で、この「按分割合を定めた書類」というのがちょっと面倒です。「公証人の認証を受けた公正証書」、「確定審判の謄本」、「調停調書の謄本」、「確定判決の謄本」、「和解調書の謄本」のうちいずれかを準備しなければならないのですが、あまり普段聞きなれないものばかりではないでしょうか。
上述のように実際の手続はけっこう大変です。(変なまとめ方ですが、)一番いいのは「離婚をしないこと」です。その方が世帯としての所得も多くなるのはもちろんのこと、せっかく長く連れ添ったのですから老後もお互いに協力し合って人生を全うするのが理想のような気がします。あまり人のことを偉そうには言えないですが・・(笑)。
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